書評

【書評】『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』を読んでみた感想!

「『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』を読んでみた感想!
日々の悩みから解放されたい人にオススメの本!」

『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』は、著者 中村恒子さんが、困ったことが起きたなあというとき、どんなことをすれば、自分の心なり日々のストレスなりと折り合いをつけて、うま~くやっていけるようになるのか?について書いた本です。

89年生きてきた著者自身の人生と、70年近く患者さんと向き合ってきた精神科医としての人生から生まれた、いろいろな悩みに効く言葉が詰まっています。
生きていると、仕事のこと、家族のこと、恋愛のこと…悩みはつきません。
悩みやすい人、もう悩みたくない人にオススメです。

「逃げたい」という気持ちも、人生を変える原動力の一部

この本で最も印象に残ったのが、『自分で「逃げる」って決めるんやったら、自信を持って逃げたらいいんです。「逃げたい」という気持ちも、人生を変える原動力の一部』ということです。

心身が病みそうになっている人ほど、生真面目で「逃げたらいけない」と思っていたりするといいます。
目の前にあることを、一生懸命にがんばることは大切なこと。
だけどそれは、心も身体も健康だったら、という前提があっての話です。
自分の意志で決めて、その結果に責任を持つなら、「逃げる」ということも原動力なんです。

自分が苦しくて何かをやめるとき、なぜか「逃げている」という後ろめたい気持ちが生まれませんか。
「逃げる」という言葉に、良くないイメージがあるからかもしれません。
でも、中村さんは何か大きなことを決めるときには、「がんばりたい」という前向きな気持ちも、「逃げたい」という後ろ向きな気持ちもどっちもあるのが普通だといいます。
だから自分で決めたなら、それが「逃げる」ことであっても、自分を動かすための一歩に違いない、そう思えました。

何か行動するときには、いろいろな気持ちに心が揺れると思います。
前向きでも後ろ向きでも、自分で決めるために後押ししてくれる、中村さんの考え方にはそんな力が感じられます。

人は一人なんです

親しい友達や仲間がいなくて悩む人、常に一緒にいる誰かを求める人…仲のいい友達がいるならそれに越したことはない。
だけどどこまで行ったって、人は一人なんです。
これはたとえ親子でも同じ。なんだそうです。
人にはそれぞれの人生があって、意志や状況がある。
そして、それはどんどん変わっていきます。
だから、どんなに仲のいい誰かだって、いつも自分の助けになってくれるとは限らない…そのように考えておくくらいの距離感、あきらめが必要だといいます。

いつも1人でいるのは寂しいし、自分の味方になってくれる人がいれば心強い、そう考える人がほとんどだと思います。
だけど実際は、そんな誰かがいたとしても完璧な安心を手に入れることなんてできません。また羨ましいくらい友達がいる人も、それは同じなんです。
結局、人は一人。
そう考えると、人と比べる必要もないし、人に期待しすぎることもない。
そうやって距離をとっておくことで、心穏やかに過ごすことができるんじゃないかと思いました。

人の人生は人それぞれ。自分から離れていく人もいれば、また出会う人もいる。
中村さんのように、人間の生き方とはそういうもんと知って人と接すれば、良い関係で人と繋がれるようになるかもしれせん。

自信というのは、できないことが一つできると一つだけ増えるもの

自信がないことはダメなことだと思っていませんか。
私もそう思っていました。
ですが、中村さんの考えは違います。
自信を持つことが大事やとか世間では言ったりしますけど、私は「ほんまにそうやろか?」と思います。

つまり自信というのは、自分にできないことが一つできたときに、初めて‟一つ‟増えるもので、それは時間をかけてちょっとずつできていくものなんです。
だから、無理やり「自信をつける」必要はないといいます。
また、自信があるからといって、悩みがなくなるというわけでもないんです。

自信があることは良いことのように思うし、「自信をつけたい」っていう言葉もよく聞きます。
私も早く自信をつけなければ、でもどうやったら自信がつくのだろう、そんなふうに考えていました。
ですが、これを読んで「自信」ってそういうもんじゃないなと思いました。
自信のある・なしは、ゆるがないものではなく、たゆたっていくもんなんです。
絶対的なものなんてありません。
だから、そんなに気負わなくていいと思いました。

自信をつけることよりも大事なことは、自分の性格とか、好き嫌いを把握することだといいます。
心穏やかに生きていくには自信のある・なしの前に、素直でいることが大切だそうです。

「これが自分の人生や」と、一つ覚悟を決めてください。

人は結局、自分らしくしか生きられないといいます。
なのに、自分らしく生きなかったら、人生に疲れてしまいます。
人生の満足感は、誰か他の人が決めるもんではありません。
誰かと同じような人生を生きなければならないという決まりもありません。
だから、自分人の人生であることを思い出し、これが自分の人生なんだと覚悟することが大切です。

インスタグラムやブログなど、今はいろいろな方法で他人の人生を見ることができます。
それは人の人生のほんの一部なのに、お金を稼ぐべきだとか、夢を叶えるべきだとか、良い暮らしをするべきだとか…「こうするべき」にあふれています。
誰かが作った「こうするべき」は違和感があります。
「なんか違うなあと」思うなら、その感覚を信じたらええんではないでしょうか。
自分の人生は、自分らしく生きていいんです。

人生で悩むほとんどのことは、「人と比べて自分はどうか」ということから来ているといいます。
何かに悩んだときも、「これが自分の人生だ」「結局自分らしくしか生きられない」と思っていれば、誰かに振り回されるのではなく、自分らしい生き方ができるんじゃないでしょうか。

まとめ

穏やかな関西弁が耳に心地いい、中村恒子さんの言葉は、89年という人生を通して得てきたもので、すんなり人の心に入ってきます。
共著者である奥田弘美さんも、そんな中村さんに影響を受けて精神科医になり、この本を出版したいと考えた人です。
「こういうことを言ってもらえたら生きやすい」と思える言葉や考え方が、この本には詰まっていると思います。
また、著者自身の仕事における人生、家庭における人生もとても興味深いエピソードです。
悩みが尽きないという人、もう悩みたくないという人の、助けになってくれる1冊です。