書評

梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」を読んだ感想と見どころ!

梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」を読んだ感想と見どころ!

「西の魔女が死んだ」というタイトルは聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?この本は夏休みの宿題として読書感想文がありますが、そこでよく推薦されています。
この小説はまいという中学に進学してまもない少女が、とある理由から学校へ行くのが嫌になってしまいます。

そんな中、心配した両親はまいを西の魔女ことおばあちゃんの元で過ごさせることにしました。まいは西の魔女と暮らすうちに、生きていくうえで大切なことを多く学んでいくというストーリーです。
学生はもちろんのことですが、大人でも学ぶことの多い一冊となっています。

幸せの形は人の数だけある

「そうね、何が幸せかっていうことは、その人によって違いますから。まいも、何がまいを幸せにするのか、探していかねばなりませんね」

この言葉はまいが人に注目されることは幸せなことだろうと思っていたときにかけられた言葉でした。
まいは人から注目を浴びるということは一目置かれるということで、そうであれば邪険にされることも、無視されることもないから良いことなのではと思っていましたが、おばあちゃんはいじめられたり、無視されたりすることも注目を浴びているということになると教えてくれるのでした。

確かに人によって幸せの形って違いますよね。
好きな人と一緒に過ごすことが幸せな人もいれば、仕事で成功することを幸せに感じる人もいるでしょうし、友達と過ごす時間が幸せに感じる人、一人で趣味に没頭しているときに幸せを感じる人など、それこそ人の数だけ幸せの形があるのかもしれません。
私も自分自身を幸せにすることは何なのか確認するきっかけにもなり、自分が幸せになれるものというのは自分が何を大事にしているのかということではないかと思います。

大事なことは意志の力

「おばあちゃんの言うとおり、悪魔が本当にいるとして、そんな簡単なことで、悪魔が本当に防げるの?」
「本当に、大丈夫。悪魔を防ぐためにも、魔女になるためにも、いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。その力が強くなれば、悪魔もそう簡単にはとりつきませんよ。まいは、そんな簡単なことっていいますけれど、そういう簡単なことが、まいにとってはいちばん難しいことではないかしら」

「いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です」
「そんな簡単なことっていいますけれど、そういう簡単なことが、まいにとってはいちばん難しいことではないかしら」というフレーズが特に印象的でした。

私自身、資格の勉強をするのに計画を立てたりするのですが、つい理由をつけてその日の勉強をサボってしまうこともあり、これらの言葉はグサッと胸に刺さりました。
自分で決めたことを実行に移すだけのことが、なぜこれほど難しいのか、それは自分自身の意志の力が弱いからだということが改めて分かりました。

険しい道のり

「ありがたいことに、生まれつき意志の力が弱くても、少しずつ強くなれますよ。少しずつ、長い時間をかけて、だんだん強くしていけばね。生まれつき、体力のあまりない人でも、そうやって体力をつけていくようにね。最初は何にも変わらないように思います。そしてだんだん疑いの心や、怠け心、あきらめ、投げやりな気持ちが出てきます。それに打ち勝って、ただ黙々と続けるのです。そうして、もう永久に何も変わらないんじゃないかと思われるころ、ようやく、以前の自分とは違う自分を発見するような出来事が起こるでしょう。そしてまた、地道な努力を続ける、退屈な日々の連続で、また、ある日突然、今までの自分とは更に違う自分を見ることになる、それの繰り返しです」

少し長くなってしまいましたが、この本の中で一番好きな場面です。
意志の力を強くする方法についておばあちゃんが説明してくれています。
この場面を読んだとき、まさにこの文章の通りだなと思いました。
意志の力は目に見えない力だけに、成長しているのか分からないですから、何かを継続することがいかに難しいことかが分かります。
この文章は意志の力のことだけに限らず、あらゆることで自分が成長する上で必要なことだと思いました。

また、何の本で読んだのか忘れてしまいましたが、努力をしたら坂道を登っていくように少しずつ成長していくのではなく、努力をひたすら続けて、あるとき、階段を上るように成長するという話を思い出しました。
自分の成長が常に目に見えて分かれば、努力を続けることも簡単になるはずですが、現実はそんなに甘くなく忍耐強くコツコツ努力を積み重ねるしかないと再確認するきっかけになりました。

西の魔女の優しい言葉

「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからと言って、だれがシロクマを責めますか」

すごくいい言葉だなと思いました。
この言葉に救われる人も多いのではないでしょうか?
学校や職場など、現在の自分が置かれている立場が絶対で、この場所で頑張らないといけないと思っている人にとっては、非常に心に響く言葉なのではないかと思います。
環境を変えるのも一つの手段としてあることを知っているだけでも、肩の荷が下りて気分が楽になるなと思いました。

転職などはマイナスのイメージがあり、環境を変えることに後ろめたい気持ちを持っている人も、今、自分がいる場所がもしかしたら自分に合っていない環境なのかもしれません。
そんな中で、自分に合った場所を求める人の背中をそっと押してくれる、とても優しく温かい言葉で、西の魔女ことおばあちゃんの優しさが滲み出ている場面だと私は思います。

まとめ

おばあちゃんの一つ一つの言葉が胸に響く作品でした。
学生時代の推薦図書として有名でしたが、有名すぎて今までなんとなく読んでいませんでした。
いざ読んでみると、なぜもっと早く読まなかったのかと後悔しました。
生きる上で大切なことなどがたくさん詰まっていて、ぜひ学生のうちに読んでおいてほしい小説です。
推薦図書になるのも納得の内容でした。

もしかすると、学生のうちはおもしろくなく、言っている意味がイマイチ分からないかもしれません。
ですが、大人になったときに必ずその意味が分かると思います。
学生にも大人にもおすすめできるというよりも、万人におすすめできる小説だと思いますので、ぜひ皆さん、梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」を読んでみてください。