書評

外国人と信頼を築く技術!『異文化理解力』

外国人と信頼を築く技術!『異文化理解力』

私たちは地球で異なる国々の人々と暮らしています。
この際に問題になる点の1つは文化の違いです。
それは言語にもおよびます。

例えば「それは独創的な意見だね」というと、イギリス人は「その意見は愚かだ」という意味に受け取りますが、オランダ人は「意見を気に入ってくれた」と真逆に感じるそうです。この本では8つの分野において対立的な指標をおき、各大陸から主要25か国を相対的に位置づけています。
この本を読めば、相手の文化をよりよく理解できるでしょう。

●「コミュニケーション」の違い

イランのようなハイコンテクスト文化では、ある種のメッセージはあまりハッキリと口にする必要はない。

コミュニケーションは「ハイコンテクスト」「ローコンテクスト」の指標が使われています。
ハイコンテクストとは文脈や背景を重視したコミュニケーションです。
日本の「空気を読む」をイメージすると良いでしょう。

一方、ローコンテクストの国では「言わないと分からない」となります。
本書では日本が、最もハイコンテクストな国として位置づけられています。
続けて韓国、インドネシア、中国などアジア圏が続きます。

さらにケニア、イラン、サウジアラビア、インドといったユーラシア南部の国々がハイコンテクスト寄りです。
ローコンテクストな国では、アメリカ、オーストラリア、カナダ、オランダ、ドイツなどヨーロッパ諸国が位置しています。
これらの国では「意見ははっきり言わないと伝わらない」ことになります。
ただし、スペイン、イタリア、フランスはハイコンテクスト寄りです。
南米は「ハイ・ロー」の中央当たりに位置します。

●「評価」の違い

中国人のマネジャーは同僚を公然と他人の前で批判しない方法を身につけている一方で、オランダ人のマネジャーはいかなるときも正直で率直なメッセージを伝える方法を身につけている。

相手を評価する際には、あわせてフィードバックをすることがあります。
場合によっては「ここが良くない」というネガティブなフィードバックを行うこともありますが、「直接的」と「観接的」のどちらを好むかが記載されています。

こちらも日本が最も「間接的」なネガティブフィードバックを好むとしています。
直接的に言われることを「ダメ出し」などと言いますね。
次に位置するのはタイです。
同様に「間接的」を好む国としてはアジア圏やユーラシア南部があり、コミュニケーションの「ハイコンテクスト」と近い関係にあります。

一方「直接的」なネガティブフィードバックを好む国はロシア、イスラエル、オランダがトップに位置し、続いてドイツ、フランス、北欧などがありりコミュニケーションの「ローコンテクスト」の国々とは異なります。

●「説得」の違い

そして多くの人は気づいていないものの、あなたが説得を試みる方法や説得力があると感じる議論の種類は、あなたの文化の哲学的、宗教的、そして教育的前提や意識に深く根差している。

「説得」は理論や概念を説明してから事実に言及する「原理優先」と、逆に事実や発言について説明してから理論や概念に言及する「応用優先」に分類されています。
「説得」の表では日本は位置づけされていません。
原理優先では、哲学が発達しているフランス、イタリア、ドイツなどに加え、ロシア、スペインが位置しています。

逆に応用優先なのは、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスなど、コミュニケーションで「ローコンテクスト」に位置付けられていた国が多くあります。
南米、北欧は中間あたりに位置します。

●「リード」の違い

デンマークのような国々では、上司が自転車通勤をすることは(一般的なことだが)、平等主義的なデンマーク人たちに対するリーダーからの強いメッセージの象徴になり得る。

「リード」は「リーダーシップ」などの意味でのリードです。
これは「平等主義的」「階層主義的」の指標で分類されています。
階層主義的な国ではリーダーに強い権限が与えられていると考えられます。

平等的な国では、デンマーク、オランダ、スウェーデン、イスラエルなどが位置づけられています。
フィンランドも平等主義的で、北欧の社会保障文化と関係があるかもしれません。
階層主義的のトップは、日本、韓国、ナイジェリアです。
続けてサウジアラビア、中国、インド、ロシア、ペルーと、あまり地理的な要因は見られません。
日本がいかに序列的で硬直的な組織文化かが良くわかります。

●「決断」の違い

私の知る限り、「合意」と言う言葉は禁句になっています!
合意は誰の思いも満たすことがありませんが、平等的であるため、受け入れられています。
合意を目指すことによって平凡なものが生まれてしまうのです。

「決断」は「合意志向」と「トップダウン式」に分類されています。
合意志向のトップは日本です。
続いてスウェーデン、オランダ、ドイツなどがありますが、少数です。
一方「トップダウン式」側のトップはナイジェリアで、次に中国、インド、ロシアとなっています。
アメリカは意外なことに中央当たりに位置します。

しかし最も合意主義的な日本から見れば、アメリカはトップダウンのように見えるのです。ちなみに本書の原書は外国で刊行されたものですが「稟議書(りんぎしょ)」は日本特有の文化として大きく取り上げられています。

これらの他に、「信頼」についての「タスクベース」「関係ベース」による指標、「見解の相違」についての「対立型」「対立回避型」の指標、「スケジューリング」の「直線的な時間」「柔軟な時間」について、各国が位置付けられています。

以上、指標や国の位置づけについて紹介しましたが、本書ではビジネスマンが実際に直面した具体的な事例が掲載されていますので、ぜひ読んでみてください。