書評

人生100年時代は予防医療の時代!堀江貴文『健康の結論』

人生100年時代は予防医療の時代!堀江貴文『健康の結論』

ロケット打ち上げなど宇宙ビジネスを行っている堀江貴文氏ですが、並行して「予防医療」にも取り組んでいます。
医療が高度化し財政負担が増し、さらに平均寿命が伸びる中で、いかに「健康寿命」を維持するかはとても重要です。

本書は京都大学や国立病院をはじめ、各専門家の知見を分かりやすく紹介しています。
「ホリエモン嫌い」の方にも一読の価値があると思います。
(本書の医療情報は2018年7月時点のものです)

●情報格差が寿命を決める

ともすれば「肝臓がんは予防できる」「子宮頸がんの予防ってどうなの?」というような医療トピックスと、「水素水って健康にいい」「はちみつでピロリ菌は死ぬ」といった根拠の乏しい健康法が同列に扱われていたりする。

健康や医療に関する情報は玉石混交で、ときには著名人が誤った情報を広めている場合もあります。
本書では医学的根拠のある内容に絞られているので、安心して読むことができます。

●情報過多時代の血圧・血糖値についての予防医療

私たちが1日に触れる情報の量は江戸時代の1年分ともいわれています。

医療法人社団同友会の産業医である大室正志先生によれば現在は「脳高負荷時代」です。
現代において重要なのは「良い睡眠」であるとしています。
睡眠不足や継続的な緊張は、高血圧、血糖値コントロールの乱れにつながります。

血糖値ではグルカゴン・コルチゾールといったホルモンが上昇要因となります。
また自律神経失調症やメンタル不調のリスクを上げます。
こういった症状などの予防には、最低でも6時間の睡眠は必要としています。

●心停止に対処するための心肺蘇生法、AED活用

驚くべきことに、この国では毎年約7万人、毎日200人、7.5分に1人が「心臓突然死」している。

上記は病院外で心停止する人の数です。
みなさんの目の前でも十分に起こり得ます。
心停止への対応については人工呼吸と心臓マッサージによる心肺蘇生法と、AEDがあります。

詳しくはインターネットなどで日本医師会など信頼できる情報を得ていただくとして、強調したいことは1分1秒でも早く対処することです。
1分経過ごとに救命率は約10%下がるとしています。

また、心肺蘇生法が上手くいかないことが分かってからAEDを取りに行くのではなく、確認より先に近くにいる人にAEDを探して持ってきてもらいましょう。
AEDは、使わずにすめば返却すれば良いだけです。
なお、単に救急車を呼んで待つだけでは救命できるのは9.2%に過ぎないそうです。

しかし心肺蘇生法により16.1%、さらにAEDにより54.0%まで救命率は向上するとのことです。
また心停止の初期段階では呼吸しているように見える「死戦期呼吸」が現れることがあります。
しかしこれは実際には呼吸できていません。
本書には書かれていませんが、医療機関に勤める知人によれば、舌がダラリと伸びた状態になっているのが特徴だそうです。
この場合も通常の心停止と同様の対処が必要です。

●「予防できるがん」で亡くなってしまう人が多すぎる。

日本人のがんの約25%は細菌やウイルスによる感染症が原因と言われている。

大腸がんは日本人のがんでは上位に入りますが、便潜血検査とその後の早期対処(内視鏡検査)により90%は防げるそうです。
しかし、便潜血検査で陽性が出たにも関わらず放置している人が多いとあります。

また、大腸がんの予防薬としてアスピリンが期待されていますが、たばこを吸う人はがんの原因となるポリープが3倍に増え、飲酒過多の場合は効果が見られないそうです(ほどほどの飲酒は効くそうです)。
ただしアスピリンは副作用もあるため一律全員に投与すべきものではないとしています。

●様々な病気と関わりがある歯周病

歯周病は歯科で治療しても完全に除菌することは難しい。

歯周病菌自体は、成人の約80%が持っているそうです。
問題はきれいな状態を保ち繁殖を抑えることです。
なお新生児は、歯周病菌は持っていません。
親からの食べ物の口移しや、大人が使ったスプーンなど食器を通じて感染しますので注意しましょう。
歯周病は、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などに関連します。

最近では、認知症、乳がん、流産・早産との関係も指摘されているそうです。
スウェーデン、フィンランドやドイツなどでは予防のためのデンタルケアは無料で受けられる一方、虫歯や歯周病は保険適用外などの仕組みになっているそうです。
いかに「予防」が重視されているかが分かります。

●男性も知っておきたい女性のがん

HPVは、日本では女性の問題としてクローズアップされがちだが、男女問わず感染するウイルスである。

HPVは、子宮頸がんの原因となるウイルスです。
しかし実はワクチンは以前から存在しています。
日本でも推奨されていた時期がありますが、副作用の懸念などから保険適用外となっています(ワクチン接種自体はできます)。

しかし、アメリカやオーストラリアをはじめ保険適用としている国は多くあります。
オーストラリアでは、ワクチンの3回接種により、ワクチンの効果がある4種類のHPVについて感染率が93%減少したそうです。
それだけでなく、ウイルス自体の蔓延が少なくなるため、ワクチンを接種していない場合も感染率が35%減少したそうです。

同様に海外と日本で扱いが異なるものとしてアフターピルがあります。
性交渉から72時間以内なら、妊娠を98%回避できるそうです。
これにより望まない妊娠を防ぐことができます。
海外では薬局で購入できる国がある一方で、日本では婦人科などを受診する必要があります。

以上のようなことは、当事者である女性に限らず、男性も知っておきたい知識です。


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