書評

Twitterの10年間を考える本!津田大介『Twitter社会論』

Twitterの10年間を考える本!津田大介『Twitter社会論』

この記事を読んでいる方で、Twitterを利用している方は少なくないと思います。
中には複数のアカウントを使い分けている方もいるでしょう。
一方、もちろんTwitterを使ったことがない方もいると思います。

Twitterを使っている方は、いつから利用を始めましたか?
『Twitter社会論』は10年以上前、2009年に刊行された本でTwitterについての先駆け的な本です。
また著者の津田大介氏は、日本にTwitterを普及させた立役者の一人でもあります。

しかし10年が過ぎた現在では、当初に津田氏が予想したほどTwitterの良い面が社会を変えることができなかっただけでなく、悪い面も社会を大きく変えました。
以下ではTwitterが10年前にどんな期待を持って日本に紹介されたかを本書に従って紹介していきます。

●140字の「つぶやき」が世界を変える

140字という限られた文字数で放送メディア並みの瞬間的情報伝達力を持たせることに成功したからである。

Twitterのサービスが始まったのは2006年です。
その後2007年にニューヨーク・タイムズなどで取り上げられるようになりました。
さらに2008年にはアメリカの大統領選挙においてオバマ元大統領の陣営がTwitterを利用し話題になります。

日本では、2009年3月にNHKのBS番組で取り上げられ、6月に朝日新聞がアカウントを立ち上げます。
8月にはビジネスマン向けニュース番組「ワールド・ビジネス・サテライト」で紹介されます。
鳩山由紀夫元首相が2010年Twitterを始めたことで一気に話題になりました。

なお津田氏がTwitterを始めたのは2007年4月です。
著名人では2009年6月に堀江貴文氏が、7月に勝間和代さんがアカウントを開設しました。2010年には鳩山由紀夫元首相がアカウントを開設します。

なおTwitterユーザーはアメリカに次いで日本が2位となっています。
実は同じ140字でも、アルファベットの単語で記述する英語と、漢字などを使える日本語では情報量が異なり、日本語向きのツールだったのです。
例えば「君は私の友達です。」は8文字ですが、英語では「You are my friend.」と18文字になってしまいます。

●Twitterの速報性が既存メディアを超えた日

報道における「速報性」という部分がツイッターに浸食された瞬間である。

2009年1月、USエアウェイズの旅客機がハドソン川に墜落しました。
これを真っ先に伝えたのは、テレビでも新聞でもなくTwitter投稿でした。
今ではテレビが視聴者のツイートを紹介したり、録画した動画を放送したりするのは自然に行われていますが、ほんの10年前まではあり得ないことでした。

●Twitterの新たな問題

10年後の現在では、『Twitter社会論』で論じられていない課題なども出てきています。

【デマ、排外主義】

デマの問題については本書でも論じられていますが、特定の国、その国民に対する暴力的な言動は本書では想定されていません。
これらは改変した画像などを用いて説得力を持たせたデマなど悪質なものも出てきています。
また、ツイートしている本人は事実をツイートしているつもりでも、実際はデマである「善意のデマ」「悪意なきデマ」もあります。
これは刊行直後では東日本大震災で顕著になりました。

【Twitterまとめサイト】

Togetterが代表的ですが、あるトピックについて、複数のアカウントのツイートをまとめるサイトがあります。
これは一見、分かりやすく便利なのですが、実際には多くの意見があるのに、まとめる際に選別し、一方的な主張や、片方の意見のみが世間で受け入れられているように見せかけている場合などがあります。

【過剰な批判・炎上】

通常であれば見過ごされるような行動や言動が、あることをきっかけに注目を浴び、必要以上に大きな問題になることがあります。
場合によっては、匿名アカウントにも関わらず本名だけでなく自宅までネットでさらされたり、アカウント自体を削除せざるを得ない状況に追い込まれる場合もあります。

●新たな用途・価値

一方で、当時は想定されていなかったものも多くあります。

【社会運動】

ハッシュタグ(#)を用いて、賛同するツイートを集める活動が盛んです。
刊行直後では東日本大震災の際に「#枝野寝ろ」がありました。
他にも「#Metoo」や「#kutoo」といった社会への問題提起に使われることが多くなってきています。
中東では、SNSを大きな要因として「アラブの春」と呼ばれる大きな革命が起こるなどしました。

【災害時などの情報収集】

東日本大震災以外にも震災や水害など、日本は多くの自然災害に見舞われています。
そうした中で道路などの生活インフラが機能不全に陥ったり、救助のための活動が行われたりします。
この際、テレビなどのマスメディアは「被害が極端に大きなかわいそうな場所・人」だけを取り上げがちです。
あるいは芸能人が被災地で炊き出しをしたとか、スーパーボランディアがヒーロー扱いされるといった報道に多くの時間が割かれることも少なくありません。
一方、Twitterでは「被災地の現場の声」として被災者当事者から必要な情報を発信したり、ツイートでボランティアを募ったり、復旧状況など各種情報を被災者に向けて発信したり、といったことが行われています。
「誰でも発信できる」という点が有効に活用されている事例といえるでしょう。

●Twitterの未来

Twitterは、実は経営的には赤字体質が続き経営的にうまくいっているとは言えません、一方で、これまでに述べてきた課題を抱えながらも世界をつなぐ生活インフラとして定着しています。今後の動きにも注目です。