書評

右利きにぜひ知ってほしい!『左利きの人々』(中経出版)

右利きにぜひ知ってほしい!『左利きの人々』(中経出版)

右利きは人口の9割を占めるそうです。
なんと、この割合は世界共通だそうです。
9割の右利きの方は、何も不便を感じないと思いますが、左利きにとっては右利き社会は不便が多い社会です。

この本では、そんな左利きの不便な生活と悲哀を76個の事例を通して紹介しています。
右利きの方には「そういわれればそうだな」という発見が、左利きの方には「分かる分かる!」という共感が得られる本です。

●家の中の使いにくいもの

パソコンは右利き有利の宝石箱だ~!

マウスは、間違いなく右側に置かれています。
キーボードのテンキーも右側です。
よく使うEnterキーも右側にあり、通常は小指で押します。
利き手でない小指を、文字変換や改行などの度に連打しているのが左利きなのです。
あ、DeletキーやBack Spaceキーも右側にありますね。

唯一、左利きに有利なのは、左上にある「半角/全角」キーでしょうか。
日本語と英文が混ざった文章を書くのは右利きより得意かもしれません。
またスマホやタブレット等のタッチパネルが普及し、少し平等な世界に近づいたかもしれません。

パソコンの他には、急須、缶切り、ガスコンロ、蛇口、やかんなどが紹介されています。

●共同生活を行う学校でも左利きはときどき困っています!

アーム型の小さなテーブル付きのイスには座りたくない

テーブルが収納されているパイプイスのような形をしているイスがあります。
あのテーブルは、右側についていて、テーブルのほとんどの面積が右側を占めています。
そのため、右肘をテーブルに置き、安定した状態でノートを書いたりすることができます。ところが、左利きはどうでしょうか。
テーブルには左側を支える部分は何もなく、筋肉で腕を支えて書かないといけないのです。

ちなみに、新幹線のテーブルも左右平等に見えて、カップを安定させるくぼみは右側にしかありません。
また映画館も、左右にカップを置く場所があるので平等に見えますが、左側にカップを置くと、左鄰の席にすわる右利きの人(確率90%)がコップを利き手の右側に置けないので、左利きは気をつかって、泣く泣く右側に置いて映画鑑賞をします。

その他に、はさみ、習字、リコーダー、顕微鏡などが紹介されています。

●街にもあちこちあるんです!左利きが苦手なものが!

ビデオカメラ ここまで右利き重視の商品も他にないだろう。

最近はスマホで動画も撮影できるようになりましたが、データ容量や画質、手振れ補正などの理由でビデオカメラを使っている方も多いのではないでしょうか。
しかしビデオカメラは、左利きですが右手で使わざるを得ないアイテムです。
まず、支えるベルト等は右側にしかなく、そもそも右手で持てません
各種調整も右利き向きです。
そして何より、翼のように開くディスプレイは絶対に左側に開きます。
左利きがビデオカメラの撮影が下手でも許してあげてください。
ちなみに普通のカメラも、シャッターボタンは右側にあります。

その他に、自動改札、カサ、バイキングなどが紹介されています。

●左利きはオシャレにも気をつかうんです!

腕時計 クオーツや電波時計は、左利きにやさしい発明品なのだ

右利きの方は左腕に腕時計をつける場合がほとんどでしょう。
左利きが左腕に時計をつけると、様々な作業のときにぶつけたりして傷だらけになってしまうのです。
「じゃあ、右手につければ?」となったときに問題になるのが、針を合わせるためのツマミです。
あれは「竜頭(りゅうず」と言います。
腕時計、左腕につけると竜頭は上に来ますので、ツマミを回しやすい。
しかし、右腕につけると、竜頭は下側になってしまいます。
なんと回しにくいことか。
アナログ腕時計をお持ちの方は、試しにやってみてください。

ちなみにジーンズなどのズボンの右ポケットには、さらに小さなポケットがありますよね。これはもともと、懐中時計を入れるためのポケットだそうです。
左側にはありません。
現代では懐中時計を使う人はほとんどいないと思いますが、過去の左利きの人々の苦労は計り知れません。

この他に、扇子、爪切り、下着などが紹介されています。

●スポーツや音楽でも左利きは苦労しているんです!

ボーリングのタマの穴ってほとんどが右手用なんだってね

左利きは左手でしかボーリングのタマを投げたことがない方がほとんどではないでしょうか。
なので気づきにくいのですが、よく見てみましょう。
穴の位置が、右手の指が入りやすいように配置されています。
こんな配置で、左手でまともに投げられるはずがありません。

さらに、本書では触れられていませんが、中指の穴と薬指の穴は、大きさが違うのです。
中指の穴のほうが大きく、薬指の穴のほうが小さくなっています。
このため左利きは、小さな薬指用の穴に中指をきちんと入れることができません。
中指を穴にきちんと入れるには、サイズの大きいタマを使うしかないのです。
重い…。これを避けるには、右腕で投げるしかありません。
しかし、右腕の腕力は利き手の左腕に大きく劣ります。重い…。

この他に、トランプ、バドミントン、レコードなどが紹介されています。

●まとめ

以上のように、この本では左利きの哀愁がユーモラスに紹介されています。
右利きの方は、ぜひ読んで左利きの苦労を知ってほしいと思います。
また左利きの方は、コラムにある「左利きの偉人」のリストでも見て、心を慰めましょう。