書評

2020年ドラマ化された水生大海さんの「ランチ探偵」を読んだ感想と見どころ!

2020年ドラマ化された水生大海さんの「ランチ探偵」を読んだ感想と見どころ!

水生大海さんの「ランチ探偵」は2020年1月にドラマ化された小説です。
OLの天野ゆいかは同僚の阿久津麗子に誘われ、乗り気ではないもののランチ合コンに参加します。
しかし、どういうわけか合コンの場で毎回毎回ちょっとした日常の謎が話題に上がるのでした。

その日常の謎をゆいかが持ち前の推理力を駆使して、謎を解決するミステリー小説となっています。
6つの短編から構成されており、一つ一つの短編が軽めで読みやすいため、どんな方にもおすすめできる小説です。

ランチ合コンってご存知ですか?

「夜だとお酒入るし、場が冷えても帰りづらかったりするじゃん。その点ランチタイムなら時間制限があるから、さくっと退散できるわけ。気が合いそうなら改めて会えばいいし」

ランチタイムに合コンをすることってあるんですね。
私はこの小説を読んで初めて知りました。
ですが、この文章を読んだとき、ランチ合コンも割とありなのではないかと思いました。

確かに盛り上がらない合コンはお互いにかなりつらいと思いますし、ランチであれば時間の制限があり、お開きにできるというのは男性にも女性にも優しいかもしれません。
麗子の合コンに対する強かな一面がでているのではないかと思いました。

この小説では元カレと別れた麗子が次の恋人を探して、合コンをセッティングし、ゆいかはそれに毎度巻き込まれ、その合コンの場で話題に上がった些細な日常の謎を解き明かすというパターンになっています。

麗子は真面目に恋人を探していますが、ゆいかはそれほど本気ではなく、時折、料理や話題となったものに対して薀蓄を披露することもありました。
かなり広い分野に知識があり、ゆいかの博学さがうかがい知れます。

一つ目の日常の謎…

「誰もいないはずの夜中に、エレベーターが屋上に移動しているんですか。しかも毎晩?それは面白そうですね」

これは1つ目の合コンで話題に上がった謎です。
本当に些細な日常の謎ですよね。
ですが、こういった小さな謎ってなぜか気になってしまうのも確かです。

ミステリー小説と言えば、殺人事件がつきもので、死体の描写などもあると思います。
それが苦手でミステリーというジャンルを避けている人も多いのではないでしょうか?
この本ではそういった凄惨なシーンなどは一切登場しないため、苦手な方も安心して読むことができると思います。

そもそも舞台がランチ合コンですから、合コンの場でさらには食事中に殺人や死体の話なんてされても、盛り上がらないですよね。
そんな相手とお付き合いするのは麗子やゆいかも遠慮したいはずです(笑)

名探偵ゆいかの決め台詞!!

「すべての構図が見えました」

このセリフはゆいかが謎を解けたときに口にする決め台詞です。
ゆいかは安楽椅子探偵と呼ばれる現場には実際に行かず、その場で与えられた情報のみで推理をしていくタイプの探偵です。
あくまで、合コンの場で話を聞いて得た情報から推理を構築し、謎を解き明かしていきます。

毎回ゆいかの推理には驚かされ、頭の中ではどんな思考をしているのだろうとすごく気になりました。
この本の冒頭でゆいかが麗子の様子を見て、彼氏と別れたことを言い当てる場面があります。
それも、麗子や他の人に聞き込みをするわけでもなく、ただ観察して得た情報から推理したというのですから、ゆいかの推理力はずば抜けているなと思いました。

安楽椅子探偵と呼ばれる探偵は他にも多くいますが、最近ですと、東川篤哉さんの「謎解きはディナーのあとで」が有名じゃないかと思います。
もし、興味のある方はそちらも読んでみてはいかがでしょうか。

謎解き以外のもう一つの魅力!

ワタの混じったトマトソースにローズマリーの香りがきいている。詰め物も満載で、イカの足の他にエビも覗き、味のバランスもちょうどいい。

実はこの本の魅力は謎解きだけではないんです!
私はもう一つの魅力として、この料理の描写があると思います。
ランチ合コンの場で提供される料理がどれもおいしそうなんですよね。

毎回合コンの場は変わり、1話目ではイタリアン、2話目はカレー、3話目は和食、4話目はドイツ料理と料理のジャンルも変わっていきます。
それぞれに出てくる料理の描写がどれもおいしそうで、読んでいる最中にお腹が空いてきてしまいました
ある意味、この本を夜に読むことはやめた方が良いのかもしれないです。

私の中で一番心に残ったシーン

「聞けよ、親父さんに。かもしれない、かもしれない、って。考えてもしようがないだろ」
「そんな単純な話じゃない」
「単純な話だよ。複雑に考えるからわけわかんなくなるんだろ」

このシーンが私はこの本の中で一番好きでした。
しかし、会話の印象で分かると思いますが、主人公二人のシーンではありません。
ネタバレになってしまいますので、具体的に触れることができませんが、何話目かの謎が解き明かされた後にこのシーンは出てきます。

私は物事を難しく考えすぎたり、慎重になりすぎて、考えても仕方がないことを考えてしまうことがあるため、この言葉は印象に残りました。
考えても答えがでないことはあり、そういったときは考え続けても意味がないですから、思い切って行動に移すというのも必要なことだと感じました。

まとめ

日常の謎を追っていく短編集で、非常に読みやすい小説でした。
謎解きとグルメ2つの魅力が詰まった作品で、ミステリーが苦手な方、本を読むのが苦手な方にもおすすめです。
気に入った方は続編の「ランチ探偵 容疑者のレシピ」もおもしろいので読んでみると良いと思います。

また、ドラマ化もされており、ゆいか役に山本美月、麗子役がトリンドル玲奈という豪華なキャストになっておりますので、興味がある方はそちらもチェックされてみてはいかがでしょうか?
水生大海さんの「ランチ探偵」ぜひ皆さん一度手に取ってみてください。