書評

芥川賞受賞作 村田紗耶香さんの「コンビニ人間」を読んだ感想と見どころ!

芥川賞受賞作 村田紗耶香さんの「コンビニ人間」を読んだ感想と見どころ!

「コンビニ人間」は芥川賞を受賞し、100万部以上を売り上げたベストセラーです。
古倉恵子はコンビニの店員でいるときのみ、自分が普通でいられるとコンビニバイトを18年続けていました。

ある日、白羽という男性がバイトとしてやってきたことで、日常に変化が現れます。
この作品では「普通とは何か」ということが問われています。
私も読みながら、考えさせられる作品でした。
今、現代社会で息苦しさを感じている人たちに、一度読んでみてほしいおすすめの本です。

価値観は人それぞれ

私には理解できなかった。
皆口をそろえて小鳥がかわいそうだと言いながら、泣きじゃくってその辺の花の茎を引きちぎって殺している。
「綺麗なお花。きっと小鳥さんも喜ぶよ」などと言っている光景が頭がおかしいように見えた。

古倉は小さいころから人と価値観が違っていました。
小鳥が死んでいるのを見つけて、一緒に遊んでいる友達が悲しんでいるところ、彼女はお母さんに食べようと言ってしまいます。

しかし、文章にもあるように彼女は彼女なりの価値観があり、決して心がないわけではなく、残酷なわけでもないです。
あくまで彼女は自分の価値観をもとに考えて言っただけで、私は彼女の価値観が全部間違っているとは思えませんでした。

実際に彼女は自分が人と違うことを自覚して、そしてそれが両親を悲しませていることを知り、必要以上に人と話さないようにすることで、普通でないことを誤魔化そうとします。
このことから両親のことを大事に想う心を持っていることはわかります。
ただ人と違う価値観を持っているだけで、ここまで世界は生きにくくなるのかと思いました。

正常な世界・人って何だろう?

正常な世界はとても強引だから、異物は静かに削除される。
まっとうでない人間は処理されていく。
そうか、だから治らなくてはならないんだ。
治らないと、正常な人達に削除されるんだ。

この文章を読んで、私は思い当たる節があり、怖くなりました。
「正常な世界はとても強引」「静かに削除される」という言葉は今の社会の在り方をうまく表現されていると感じました。

普通でない、周りと違うということは社会において異物として認識されてしまいます。
異物は周りから受け入れられず、それが、学校や会社などで孤立して居場所がない、いじめなどに繋がっているのではないかと思いました。

そして、何より怖いのは排除している側に悪意がなく、普通のことをしていると認識している点だと思います。
周りと違うということが個性として認められないのは、正直息苦しいと思いました。

普通の人間なんてどこにもいない

「つまり、皆の中にある『普通の人間』という架空の生き物を演じるんです。あのコンビニエンスストアで、全員が『店員』と言う架空の生き物を演じているのと同じですよ」

この本の中で一番印象に残った場面です。
「皆の中にある『普通の人間』という架空の生き物」という言葉に衝撃を受けました。
確かに、世の中に普通の人間という生き物は存在しないですし、何をもって普通とするのかと考えさせられました。

現在、人生において学校に行き、友達と遊び、恋をして、就職して、いつか結婚して、子供が生まれてというのが漠然とした普通の生き方とされているように思います。

では、そのような生き方と違う生き方をすれば、普通ではないのでしょうか?
人と違う価値観を持つことはいけないことなのでしょうか?
こういう時はこの感情を持つのが正しい、みんなと同じ行動、同じ道を歩んでいなければ、普通ではないと判断されてしまうことは正しいのでしょうか?

私たちがいつも言っている普通って何なのだろうと思いました。
みんな顔や身体、性格、価値観、好きなものなど違うはずで、確かに普通の人間というものは、架空の生き物でしかないなと共感しました。

私自身、ドラマや音楽を聴くよりも読書が好きで、若いのに変わっていると周りに言われることもあり、そのとき周囲と少し距離を感じます。
そのため、過去には流行りのドラマや音楽をチェックして、話を合わせられるようにするときもありました。

ただ、なぜ好きでもないし、興味もないことをしないといけないのだろうとは思っていましたが、話題についていくため仕方がないと割り切っていました。
当時を振り返ると私も普通の人間を演じていたのだなと思います。
決してそれが悪いことだとは思いませんが、自分にとって少し窮屈だったのは確かでした。

この本を読んで、普通の人間というものは架空の生き物であると分かり、人と違う点があっても良いのだなと思うようになりました。
普通ではない=異常ということではなく、その人の個性と捉えることがこれからは大切なのではないかと考えさせられる場面でした。

まとめ

人と違う価値観を持った女性の物語を通して、普通とは何かが問われている作品でした。
私は「普通の人間という架空の生き物」という言葉が一番印象に残っています。

今、この現代社会では普通でいることが当然で、普通でいることを強要されていることに息苦しさを感じる人や他の人と違うことを悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
そんな人にぜひ一度読んでみてほしい小説です。

解説を含めて168ページと非常に短くまとまっていて、時間がない人、本を読むのが苦手な人でも読みやすいと思います。
村田紗耶香さんの「コンビニ人間」皆さんもぜひ一度読んでみてはいかかがでしょうか?