書評

親子で読める「失敗図鑑」を読んでみた感想!

親子で読める「失敗図鑑」を読んでみた感想!

在宅が多くなって大人も子供もやることがなくなってくるのは、変わらないようです。
かといって通販で本を買ってばかりいては、お小遣いがいくらあっても足りません。
そんな時は、図書館がおすすめです。
普段は読まないジャンルの本を手に取ってみてはどうでしょう。

ここで紹介するのはそんな図書館の片隅にある一冊です。
いろは出版の児童書、「失敗図鑑」。
これはこのところ話題になっている同じタイトル書籍とは、まったくの別物になります。

職業別に分かれており、1つの話は300文字前後にまとめられていて児童書の名に恥じぬ子供が読みやすい作りが魅力的です。
ベートーベンやライト兄弟など分かりやすい偉人から、探検家のロバート・スコットなどあまり知られていない人物のことも読むことができる飽きさせない本です。

学生時代、お金で苦労した高橋是清

日本銀行の総裁や大蔵大臣として日本の財政を支えた高橋是清。
お金のエキスパートのはずだけれど実は何度もお金で失敗しています。
アメリカ留学をした14の時英語がわからず奴隷の契約書にサインをして持ち金もろとも身売りされたり、銀の取引では詐欺に遭い破産。

極めつけには財政を注ぎ込んだペルーの銀山開拓も、騙されて多額の借金を抱えてしまう。
その後の世界恐慌を始めいろんな場面で日本の財政危機を乗り越えたけれど、彼は何度失敗しても前向きに努力を怠らないことがなかった。

その名前を聞いたのは、確か小学校での歴史の授業。
教科書の隅に数行だけ書かれていない彼は、いわゆる「そういえば」程度の記憶にしか残らない人物です。
しかしこのくだりを読んでみると、なかなかどうして上下動の激しい人生を送っているようで読み手しては非常に興味が湧いてくるところ。

のちに彼は、日本銀行の総帥・大蔵大臣・20代内閣総理大臣になっていきます。
しかも日本の特許制度を整えたのも彼だというのですから、人生というものはどうなるか分からないものです。
おそらくこの失敗がなければ、彼がここまで日本経済に貢献することはできなかったのではないしょうか。
まさに失敗を成功に変えた人物といえます。

最初は、だらしがない 野口英世

野口英世の本名は野口清作。
彼は勉強のストレスを発散しようと、毎晩お酒を飲んで酔っ払っていた。
ある日、坪内逍遥の小説「当世書生気質」を読んでいると、自分にそっくりの名前の「野々口精作」という遊び呆けている医学生が出てくるではないですか。

そこで野口は初めて「私は何てだらしない人間だったんだ」ともう反省。
ぐうたらな生活と縁を切るため、お世話になった先生に世に優れているという意味で「英世」という名前をもらい生き方を見直しました。
数々の研究成果を上げる学者になれたのは、小説のおかげですね。

ぐうたら生活と聞いて心当たりがある者は、私を含めてかなりの数存在していることでしょう。
しかもストレスからと聞いて、さらに気まずくなる方はもっと多いことでしょう。
野口英世もそうであったというのは、かなり意外に思いました。

しかしもっと驚いたのは、その後でした。
激しく反省をした後、「野々口精作」と名前が似ているからと改名までしてしまうところであった。
当時から改名は簡単にできるものではなかったのに、その熱意と行動力は本当にすごいとしか言えない。
別のところに住んでいた「清作」という人物に頼んで近所にある別の「野口」へ養子に入ってもらい紛らわしいという理由から改名に成功してしまうのだから驚きです。

愛犬家、ニュートンの悲劇

ニュートンが、光と色について論文を書いた時の事。
少し部屋を離れていた間に彼の愛犬が机の足にぶつかり、机の上のろうそくを倒してしまった。
部屋に戻ったニュートンが見たのは、論文の束が燃えている無残な光景。
ショックのあまり2年間研究をすることができなかったそうです。
その後、何とか書き直し光の研究に大きな進歩をもたらすことができました。
火の取り扱いには、くれぐれも気をつけましょう。

これはずいぶんと親しみやすい話でした。
専門知識は良くわかりませんが、ペットの起こした出来事への絶望や悲哀に共感を覚えます。
ペットがキョトリとしている横で飼い主が悲鳴を上げるのは、愛犬家・愛猫家のあるある話です。
犬には悪気なんてないから怒るに怒れないのが、辛いところです。

しかもこのでは著名な偉人といわれている人はどこか私たちと違うように感じてしまいがちです。
でもこの話を読んでいると、なんだか親近感を感じてしまいます。

寝不足になった あがり症のチャールズ・リンドバーグ

ニューヨークを出発し、33時間。
無事飛行機で大西洋をたった一人で渡りきったけれども、この挑戦は死と恐怖との戦いでした。
実は彼、飛行の前日、緊張して全く寝ることができなかった。
だから飛行中はずっと睡魔との格闘。

操縦を変わる相手もおらず「駄目だ!いけないんだ!体を横にして眠るわけにはいかない!」とひたすら言い聞かせながらハンドルを握り続けました。
前日と合わせて、55時間もの間不眠不休で飛んだ大冒険でした。

「翼よ!あれが巴里の灯だ!」(The Spirit of St. Louis)。
こんな題名の映画が、1957年に公開されました。
この映画はチャールズ・リンドバーグのまさにこの部分を描いた映画で、制作期間20ヶ月と制作費が大赤字のこの映画なのにかかわらずたくさんの人々から高く評価を受けている名作の一つになっています。

それがまさか、前日からの寝不足との戦いだと誰が予想できたでしょう。
それなのに人とはすごいモノで、やりたいことのためなら55時間は寝ずに動いていられるのですから恐ろしいものです。
もちろんいつも50時間以上起きていることはできないでしょうが、冒険家の意志の強さを垣間見た気がします。

もっと知りたい失敗談

この「失敗図鑑」読んで思うことは、失敗を失敗のままにしないことです。
よく偉人は失敗をしないと思われがち。
しかし本当のところはそうではなく、偉人は失敗を失敗で終わらないから偉人になれるのでしょう。

そして彼らは失敗から学び次に活かし続けていくからこそ、偉大な人であり続けていくことができるのでしょう。
「相手の振り見て我が振り直せ」とはよく言います。
一度はこの失敗談を読んで、楽しみながらも気になる偉人を選んでみるのも良いかもしれません。