書評

『君はどこにでも行ける』を読んでみた感想!日本について考えてみたいという人にオススメの本!

『君はどこにでも行ける』を読んでみた感想!日本について考えてみたいという人にオススメの本!

著者の堀江貴文氏はあまりにも有名で、今日本人で彼のことを知らない人は少ないでしょう。
彼の過激な発言はテレビや新聞で取り上げられることも多いので、彼のことを異端児として見ている人もいるかもしれません。
しかし、彼は多くの本を出版し常に客観的な事実を伝えることを続けています。

そして、今回お薦めするのは、その堀江氏が著した『君はどこにでも行ける』という本です。
今の日本が世界の中でどういう位置づけをされていて、これから私たち日本人はどういう戦略を立てながら世界と戦っていくべきなのか、堀江流の詰まった一冊といえるでしょう。
日本人が日本のことを称賛するのは簡単です。

「ここがすごいよ、日本人!」「ニッポンの技術は世界一」こういうテレビ番組を見かけることは沢山あります。
しかし果たして、日本は世界の中でも誇れるだけ豊かで、誰もが幸せに生活を送ることができる国なのでしょうか。
堀江氏はこうした称賛を続け、裸の王様のようになるのではなく、批判するところは批判して新たな戦略や日本人の考え方そのものを見直す時にきているといっています。
つまり、日本は日本人が思っているほど、豊かでも幸せな国でもないという事実です。

時として人はこうした客観的な真実から目をそらしたくなることがあります。
ただ、目をそらしていては問題を解決することはできません。
むしろこうした事実に向き合いながら解決策を考えていく方が、将来を切り拓いていくことのきっかけになるのではないでしょうか。
是非、この本を読んでもらい、これからの日本を考え直すきっかけになればと思います。

①良かった点

    「単純な話だが、日本は、安くなってしまったのだ」

日本は日本人が思っている程、豊かではないと堀江氏は指摘をしています。
日本人の意識として「ヨーロッパには勝てないけど、アジアでは一番」というのが少なからずあるように思います。
しかし実際は、日本人がアジアの中でお金持ちだということは過去のものになりつつあります。

堀江氏の感覚では、中国・シンガポール・タイの大半の国民は日本よりもすでに豊かになっているといいます。
確かに、街を歩いていて中国人の多さに慣れてきましたが、最近ではタイやフィリピンからの留学生やビジネスマンが増えてきているように思います。
ひと昔前は出稼ぎのためと思っていましたが、今は明らかに楽しみに来ているという印象を受けます。

つまり、日本はすでにアジアの中でも一番豊かな国ではなくなっており、恐らく今後はその順位を下げ続けることになるでしょう。
その一方で、日本人は自らの立ち位置が下がっていることを受け入れることができず、ビジネスチャンスすらも逃しているというのが堀江氏の本筋です。

例えばスポーツビジネスでも、本来の目的は「強いチームを作る」ということのはずなのに、実際は日本のJリーグは世界の育成リーグのようになりつつあります。
誰もがJリーグで活躍して欧州リーグに移籍することを目指しています。

しかし、世界で今最もお金があるのはアジアです。
欧州クラブのスポンサーの多くはアジア系か中東系です。
そうであるならば、Jリーグを世界の選手が来たいようなリーグにすることも可能です。
そういう意識変革を行わない限り、日本のJリーグは結局低迷していくことになるかもしれないのです。
では、日本はどういう改革をすればいいのでしょうか。
堀江氏は「買われることに慣れる」ということを一つのヒントとして与えています。

②良かった点

「世界最高レベルのサービスを受けられる首都・東京」

日本が安くなったとはいえ、公衆衛生や治安から考えると日本は誇れるものがたくさんあります。交通インフラも世界で最高基準といっていいほど整っており、

「日本では待ち合わせに遅刻する方が難しい」

というジョークが言われるほどのようです。

実際、海外旅行をしていて日本の交通インフラがあればもっと楽なのにと思うことは多々あります。
時間通りに電車が来ないことや交通渋滞で待ち合わせに遅れてしまうことはしばしばあります。
そういう視点からいえば確かに日本は世界最高なのかもしれません。

しかし、その一方で日本の観光地の取り組みは世界最高かといわれるとそうでもないように思います。
確かに古い街並みを見に一度は日本に来てみたいと思う人はいますが、もう一度来たい。ゆっくりこの町で過ごしたいという人は少ないように思います。

地方の観光地に行くとしばしば体験しますが、最寄りの駅から観光する場所まで徒歩30分もかかったり、A地点からB地点まで移動するのにタクシーで1時間程かかることもあります。
これではせっかく観光を楽しむことができません。
特に海外から来た人は英語も通じないということですごく不便だったりします。

このように、世界最高のサービスを提供していてもそれを受け取る側がどう感じるかによってその評価は全く変わってきます。
観光客が何を求め、どういうサービスが喜ばれるのか、こうした視点を取り入れることが今後はさらに必要になってくるでしょう。

③良かった点

「外から来た、正論を言う「よそもの」を、団結を乱す邪魔者扱いし、追い出そうとすることに理を感じる心性は、根深い。まずはそこに違和感を持つところから始めたい。」

これは堀江氏が社会に持っている感覚そのものだと思います。
日本人は多様性を受け入れることが下手だといわれますが、変化をあまり好もうとしません。

例えば、自分より若い世代が自分と違う感覚を持って仕事をすると、日本人の多くの人はそれを注意し抑制しようとします。
しかし、その世代にはその世代にしかない感覚があり、その感覚の方がより発展的な可能性だってあるのです。
他にも、議論の場で本筋とは違う部分を大切にするのが日本人です。

「1時間あるから1時間話そう」「会議では先ずは上司の意見を聞いてから」など、本来の目的と違う部分が大好きといっていいかもしれません。
その時に、「これ無駄ですよね」という正論を受け入れられるかといえばそうはなりません。

この感覚こそが、結局は日本人を日本に押しとどめ、世界との差ができてしまっているというのが今の日本なのかもしれません。
本来人は発展や変化を求めているはずです。
しかし、どこかのタイミングで「諦め」を持つようになり、変化を好む人は「よそもの」として扱うようになります。
その時に生まれる感情が「嫉妬」です。
こうした違和感に気づき、感覚に変化を加えない限り、日本人は成長できないかもしれません。

まとめ

堀江氏は著書を通して、「日本の現状を受け入れ」「感覚を変えること」を述べていたと思います。
日本が世界で豊かであるとか、日本にいれば幸せだとかいうのはほとんど幻想になりつつあります。
むしろ、自らの好奇心が触発されるような世界に自ら足を踏み入れることの方が有意義だといえます。

堀江氏は<「君たちの国境は頭の中にある」>という言葉を後半部分に書いています。
これは、人類の進化に通じることでもあり、なぜ人は4足歩行を止め、2足歩行になったのか、それは新しい世界を見てみたいという好奇心からなのかもしれません。
自らの頭の中にある国境、これは国と国だけではなく他者との境界線といえるかもしれません、を取り除いたとき、個人も国も変化と発展を手にすることができるのでしょう。

今回紹介した堀江貴文氏の『君はどこにでも行ける」を是非読んで頂き、早速今から人生の旅に出て頂きたいと思います。

『君はどこにでも行ける』堀江貴文、徳間書店、2016年